東京高等裁判所 平成16年(ネ)第962号、同第2177号の和解について
日亜化学工業株式会社(以下、「当社」といいます。)と中村修二氏間の特許法第35条に基づく相当対価の請求に関する東京高裁での控訴審において、本日、添付別紙第1の「和解についての当裁判所の考え」(以下、「和解勧告文」といいます。)を双方が受諾し、添付別紙第2の「和解条項」の通り、中村氏が単独または共同発明者となっているすべての職務発明等(登録特許191件及び登録実用新案4件、特許庁に係属中の特許出願112件、これらに対応する外国特許及び外国特許出願にかかる発明、並びに特許出願されずノウハウのまま秘匿された発明を含むものです。)の相当対価を包括して解決する全面的和解が成立いたしました。即ち、上記すべての職務発明等について、当社は、中村氏に対し、金6億0857万円の相当対価と、これに対する平成9年4月18日より平成17年1月11日までの年5分の割合による遅延利息金2億3534万円を支払い、それ以外には両者間に一切債権も債務も存在しないことを確認する、という全面的和解です。
当社がこの和解勧告文を受諾した理由は、次の通りです。
1.本件訴訟の唯一の対象である特許発明(特許番号2628404号「窒素化合物半導体結晶膜の成長方法」。以下、「404特許」といいます。)の相当対価は、裁判所の和解勧告文中の算定方式を用いて最大限に見積もっても、添付別紙第3の「404特許の相当対価の説明」の通り、1000万円程度に過ぎないものであり、当社の主張が認められたと判断いたしました。
2.6億0857万円という金額は、中村氏のすべての職務発明等の相当対価としても過大なものであり、当社は、これに納得しているものではありません。また、遅延利息金の算定についても、起算日その他の点で裁判所の算式は当社の見解と異なるものであります。しかし、今後、中村氏との間で起こるであろう紛争が一気に解決され、それに要する役員・従業員の労力を当社の本来的業務に注ぐことができる点や、将来の訴訟費用を負担しなくて済む点を考慮いたしました。
3.和解勧告文において、当社が主張してきたように、企業側のみが負担するリスクの大きさが正しく評価され、また、従業員はリスクを共有する共同事業者とは異なることが明確に認識されました。
4.和解勧告文中の相当対価の算定方式の下記の点を、当社は評価いたしました。
a. 404特許単独ではなく、様々な技術・特許(国内の登録特許及び登録実用新案だけでも合計195件)の全体を総合して事業への貢献度を認定することにしている点
b. 青色LEDの製造・開発は、技術の進歩が著しい分野であることが明示された点
c. 原判決が見落とした平成14年の包括的クロスライセンス契約締結の事実を、控訴審裁判所は明確に認定した上で、算定方式に反映させた点
d. 会社の貢献度(使用者の貢献度)を95%と高く評価している点
さらに、上述のとおり、和解勧告文において、裁判所が企業側のリスクを正当に評価する等、今後の相当対価訴訟に適切な指針を与えていることが、我が国の産業の発展に資するものと判断いたしました。
日亜化学工業株式会社
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