2023.1.19
車載照明に革命を起こす16,384個のLED:日亜化学工業とインフィニオン、業界初の完全統合型マイクロLEDライトエンジンを開発成功
日亜化学工業株式会社(本社:徳島県阿南市、社長:小川裕義、以下、「当社」)は、インフィニオンテクノロジーズ(FSE:IFX / OTCQX:IFNNY、本社:ドイツ、ミュンヘン、社長:Jochen Hanebeck、以下「インフィニオン社」)と共同で、HD-ADB(高解像度アダプティブドライビングビーム)アプリケーション向けの業界初の完全統合型マイクロLEDライトエンジンの開発に成功しましたのでお知らせします。
自動車用LED照明技術は、自動車メーカーが運転の快適性と安全性を向上させる手段として、近年急速に発展しています。そのような流れの中で、ADB(アダプティブドライビングビーム)用のマトリックスLEDテクノロジーは、光が必要な部分のみへの路面照射を可能にする重要なヘッドライト機能になっています。当社とインフィニオン社は、3年前に、ヘッドライトアプリケーション向けに16,000個以上のマイクロLEDを搭載した完全統合型マイクロLEDライトエンジン(以下μPLSライトエンジン)の共同開発を行う旨発表いたしましたが、今回の発表は、その共同開発が成功したことをお知らせするものです。業界初となるHD-ADB(高解像度アダプティブドライビングビーム)アプリケーション向けμPLSライトエンジンを使用したマイクロLEDマトリックスソリューションは、車載製品向け信頼性規格であるAECを参照した試験を実施し、欧州Tier1企業の協力を得、2023年中にドイツのプレミアム車両に搭載される予定です。
この新しいμPLSライトエンジンは、当社の自社開発チップを使用したマイクロLED技術と、インフィニオン社の内蔵LEDドライバICを使用しており、パルス幅変調(PWM)制御を使用して16,384個のマイクロLEDすべてを個別に駆動できます。さらに、ドライバICは各マイクロLEDを個別に監視し、最適な熱制御を可能にするためチップの温度監視をする事や、内蔵のビデオインターフェースにより、ライトパターンジェネレータユニットからのビデオ信号を高速伝送することも可能です。また、インフィニオン社のドライバICは照射パターンに対して実際に必要なLEDのみを作動させるため、μPLSライトエンジンのエネルギー効率が、既存のマイクロミラーベースのHDマトリックスソリューションと比較してはるかに小さなフォームファクタで劇的に向上します。これにより、将来的にはヘッドランプのデザインをより小さく、よりスリムにすることができます。さらに、新しいμPLSライトエンジンは、工場でデジタルプログラムしたり、自動車メーカーや運転手がオンデマンドで起動したりできる調整を可能にします。
たとえば、左ハンドル、右ハンドル向け車両に対するさまざまな要件を考慮することができ、使いやすさが大幅に向上します。
これらすべての機能を備えたμPLSライトエンジンは、自動車メーカーの設計と製造の複雑さを大幅に軽減します。
当社は「C.A.S.E.( “Connected”, “Autonomous”, “Shared & Services”, “Electric”)」に代表される、未来のモビリティ社会に貢献出来る製品の開発に努力してまいります。
インフィニオン社について
インフィニオン テクノロジーズは、パワーシステムとIoTにおける半導体分野のグローバルリーダーであり、製品とソリューションを通じて、脱炭素化とデジタル化を推進しています。全世界で約56,200人の従業員を擁し、2022年会計度 (2021年10月~2022年9月) の売上高は約142億ユーロです。ドイツでは フランクフルト証券取引所 (銘柄コード:IFX)、米国では店頭取引市場のOTCQX (銘柄コード:IFNNY) に上場しています。